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2018

カメラプロジェクト

このプロジェクトの大きな問いは

「どうして写真を撮るのか?」

というものです。

スマホが普及し、動画コンテンツが豊富になった今、写真を撮る意味は何なのか、ということについて考えていきます。

 

カメラとアートの関係とは?

 

最初の授業では、そもそもカメラはどういった仕組みで動いているのか、ということについて考えていきます。

カメラの歴史を紐解くと、なんと古代ギリシアや古代中国で発見されていた「カメラ・オブスキュラ」という、暗い部屋に穴を開けると、外の景色が部屋の中に反転して映し出されるという仕組みが原点でした。

そこで古代ギリシアの人の気持ちを理解するため、教室内にカメラ・オブスキュラを作ります。教室で暗い部屋といえば…「トイレ」ですね。笑

トイレを利用しカメラ・オブスキュラもといトイレ・オブスキュラを完成させました。


↑暗幕の奥がトイレ。そのなかから外の景色を覗きます。

トイレの中に入ると、外の景色が反転して部屋の中に映し出され、子どもたちは

「うおー!すごい!外の景色が上下逆になってる!!」

と興奮していました。話を聞くだけではなく、実際に体験するほうが圧倒的にインパクトがありますね。ここから光と像の関係を理解していきます。

またこのカメラ・オブスキュラは、美術の歴史において非常に重要な役割を果たしました。

17~18世紀の西洋美術作品を鑑賞すると、実はカメラ・オブスキュラを使って描かれた作品が数多くあることに気がつきます(見た目通りに描くことに重きがおかれていました)。

しかし19世紀後半の美術作品を鑑賞すると、一気に作品の趣が変わります。いわゆる印象派の絵画です。どうしてこのように作品が変化したのか…。そう、写真の誕生です。

このようにカメラや写真の誕生によって、アートの世界も変化することをストーリーとして理解すると、子どもたちはカメラや写真に対して興味が湧いてきます。

 

見る側から創る側へ。カメラマンになる。

プロジェクトの前半でカメラの仕組みや歴史について理解したのですが、プロジェクトの後半は立場を変えます。
今までは写真を鑑賞するだけだったのですが、今度は創り手になります。
プロジェクトの最後に写真鑑賞会を行うことを伝え、フィールドワークを通じて自分が面白いと思ったもの、気になったもの、伝えたいものを撮影します。

1人1台使い捨てカメラ(写ルンです)を手渡し、あとは自由。

ファシリテーターとしてどんな写真を撮影するのか楽しみにしていたのですが、たくさんの写真が出来上がりました。
またそれぞれの写真にタイトルをつけたのですが、とある生徒は

「タイトルをつけることで、作品の見方が変わる」

と気づきを述べていました。


↑生徒の作品①「閉ざされていく世界」


↑生徒の作品②「昭和な作業場」

 

最後の振り返りでは、このプロジェクトの問いである

「どうして写真を撮るのか?」

ということについて生徒たちに聞いてみると、

「いつもだったらなんとも思わない町並みも、写真を撮ろうという気持ちで観てみると全然違う景色に見えた。
だから写真を撮ることは違う世界を観ることなんじゃないか」

といった意見が出てきました。驚き!

 

おそらくこの気づきは、自分が創り手になったからこそ出てきたものでしょう。

カメラの歴史や仕組みについて理解を深めていく部分だけでなく、写真を撮るというアウトプットをすることを通じて、初めてそのものの本質に触れられるのではないかと思っています。

 

新年度も、アウトプットを通じて本質に触れていくプロジェクトをたくさん用意しています。
ぜひご興味のある方はお問い合わせください!

 

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